回転式シェーバー「内刃」について、その2!
ようやく我が日本でも、コロナワクチンの医療従事者への先行接種が
始まった。ワクチン接種で一日も早く、コロナ禍の終息を祈るばかりだ。
そして今日も、コロナ禍で亡くなった方々のご冥福を心から祈ると共に、
医療従事者の方々に、心からのお礼と感謝を申し上げる気持ちだ。
さて、一件前のブログの続きだが、回転式シェーバー「内刃」について、
2件の特許を出願すると共に、自社で試作を行った結果を記す。
この試作には、国内で唯一、回転式シェーバーを製造販売している老舗の
企業に協力して頂き、過去に製造販売していた、オール機械加工方式の
「外刃」に組み込まれた「内刃」製作用の順送金型を借用し試作を行った。
但し、「内刃」の刃先の仕上げは、順送プレス加工で製造された「内刃」
に、機械で研磨加工を行って仕上げているため、「内刃」の刃先先端の
寸法精度はそれほど重要視しておらず、実際、寸法に微妙なバラつきがあった。
この微妙なバラつきの為、部分鍛造工程にもバラつきが生じてしまった。
上記写真の通り、一枚の刃の幅は0.52㎜、刃の厚みも0.5㎜、部分鍛造の頂点部と
切断する刃先との距離が0.0889㎜、切断する刃先と髭を一度引っ張る一次刃のエッジ
までの距離は0.1851㎜なので、部分鍛造を揃えることと刃先を揃える為には、加工
精度がいかに重要かが容易に判断できる。そしてまた、これだけ微細な部分鍛造に
よる一次刃の形成が、いかに困難な技術であるかも容易に判断できる。
そして上記の写真の通り、部分鍛造で一次刃のエッジを鋭く出すことに成功した。
又、従来の切断する刃を形成する角度も、部分鍛造を行った結果、小さくすることが
出来た。
こうして部分鍛造金型を微調整しながら、試作を繰り返していたある日、吉報が
届いた。お世話になっている弁理士から、「特許が査定された。」と。
そしてその後、特許証が送達され、「特許第6482149号」「特許第6525298号」を
単独で保有することとなった。
上記写真の通り、切断する刃先の角度が、旧刃に比べ特許を織り込んだ刃の方が
鋭くなっっていることが見て取れる。
一次刃で一度髭を引っ張りながら、切断刃で切断する際、髭を逃がさずに切断
出来る為、より深剃りが可能となる他、切断刃の角度が鋭角になったことで、
切断抵抗が減少し、切断刃で髭を引っ張ることが旧刃に比べ減少することで、
肌への負担が減り、より肌に優しい深剃りが可能な回転式シェーバーとして、
ユーザーに提供できる。
金型をお借りした国内唯一の回転式シェーバーメーカーに、2件の特許を提案したが、
やはり老舗の為か、自社開発以外の技術を受け入れることに、大きな抵抗があるらし
く、今のところ、前向きな回答を得られていない。
又、老舗の企業ではあるが、外部大手企業が全株式を保有しているため、全てに決定
権は無く、もの作りに対する士気が落ち込んでいるのも確かである。
もともと3ヘッドの回転式シェーバーは、海外の商社に依頼されたOEM商品であり、
国内向けの商品は無かったが、2017年3月24日付けの日本経済新聞に公告を掲載し、
「Made in Japan」を掲げ、国内や海外の一部に発売されたモデルがあったが、
多大な投資を行い「外刃」も回転させたのだが、髭が髭進入溝に入り難くなり、
髭剃りにかかる時間が大幅に長くなってしまった。「外刃」を回転させないモデル
に比べ、約2.3倍となってしまった。結果として、様々な要因があるとは思うが、
鳴り物入りで発売を開始したモデルであったが、販売数は伸びず、現在はほとんど
売れていないし、製造されているのかも不明だ。
私もどうにか、再建中の会社に立ち直って頂きたいと考え、内刃の試作も全て
自費で行ったし、特許を織り込むことで、どのようなメリットがあるかを、事細か
に比較し、レポートにして提出したが、何の回答も得られなかった。
多分、この国内唯一の回転式シェーバーメーカーで、特許を利用して製品化される
事はないと思う。
この国内メーカーのOEM先である海外の商社は、中国のシェーバーメーカーからも、
OEMで仕入れている。そしてその中国メーカーの商品は、とにかく安価だ!また、
安価だけではなく、商品価値もコスパに優れている。
「外刃」はプレス加工+オール機械加工の旧式ではあるが、多額の資金により、
高額で高精度な工作機械を導入することで、急速に製品精度を上げてきた。
下の写真の通り、パッケージの中には、回転式シェーバーだけでなく、もみあげや
髭を整えるトリマー、鼻毛カッター、肌用回転ブラシなど、スキンケア―用品も同
梱されていて、通販で買うと、全部で税込み2,500円程度で購入できる。これでは
国内メーカーも、全くと言って良い程、太刀打ちできない。
今後海外の商社は、中国メーカーからのOEM仕入れが、増加の方向に向かうと思われ
るので、「外刃」の順送プレス量産化の提案や、「内刃」の特許の提案や製作方法等、
顧客は中国のシェーバーメーカーに移って行くことを、想定した動きになると思う。
日本の国益の面でも、中国に仕事を依頼して円を払ったり、中国から完成品を買って
円を払うばかりでなく、中国から、外貨を得る方法を貪欲に考えなければ、日本の製
造業は、益々加速している衰退の一途を辿るであろう!
現時点で現役の我々が、真摯に考えて行動を執って行かないと、我々の孫世代、曾孫
世代に、ごく当たり前の日常、平和で緑豊かな暮らしやすい日本を、残すことは出来
ないのでは?
弊社にご興味のある方は「 tokuda.ard1272@gmail.com 」にメールを送信下さい。